夜想曲
レタス
酷暑の昼は蝉も静やかに
涼やかなゴーヤのカーテン
凛々と陽を映す泰山木
あんず飴オヤジが小玉を選ぶ縁日は
縁日におでんの無いさびしさに
ものすごい大きなひまわりなくなった
花ひらく朝顔に頬笑む
線香花火のはなのいろ四万六千日を映す
ゆらゆらと涼やかなりし金魚鉢
風もなくひと差し指で短冊揺らす
琥珀を浴びて佐曾羅を聞く
羅国の涙はルビィ色
甘苦い伽羅に酔う
新世界の花開かせたカラヤンはいま何処
鋭きショルティ新世界を締めゆくゴールドディスクを聴く
静かなるビオラダガンバに今宵も癒やされ
銀河に守られ空に溶け往く
三千世界の星に生まれた不思議
白檀の香りに包まれてヨーヨーマの無伴奏を聴く
数多の花を咲かせる李玉剛
われ変面の技を習いたし
龍脳を香らせ朝をゆく
カツカツと桃色岩塩噛み砕く
紅いトマトに塩ひとつまみ
おとしハモ 水茄子想う夏の夜
胃を亡くし醍醐味消える
真夏のカレーにポテトサラダがかおる夕べ
そそり立つ大和を仰ぐ祖父の想い出
真夏のおやつは胡瓜味噌
ハモニカを吹くようトウモロコシに向かう
プール帰りのおでんに想いを馳せる
紅色珊瑚は夏の色
江ノ島に漂うサザエの壺焼き
地の鯵に舌が驚く
トルマリン その青緑に瞳が溶けて
ピアソラの悲哀は今も息する
八ヶ岳はわが心のふるさと
真那加を聞き我が罪を知る
われは茗荷となりて大笑い
終わりなき今宵に引きずられ
風に舞うカミーユの立ち姿に心ざわめく
緩やかな南イタリアに想い馳せ
もうやめよう今宵はこれまで