虹を映す濁った水晶体
Lucy

気がつけば
三階席の片隅にいて
タリス・スコラーズのハーモニーに
君の耳は
空中浮遊する

悔い改めるでなく
道を求めるでもなく
真実に目覚めるはずもなく

美しさそのものとしての
聖歌の調べは
究極のセラピー

君は震え
涙を流す

ルネサンスのカラクリ
権威にひれ伏した人々

美が
支配者の手をはなれ

君は単なる虚無に解放され
単なる孤独の
深遠に触れ
単なる感性のわななきに
立ち合う

渇き衰えた魂として




自由詩 虹を映す濁った水晶体 Copyright Lucy 2015-07-30 17:25:46
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