◎既視の抱擁
由木名緒美

青空から降りてきた一本の糸を
黄金色に変えたのはあなたなのに
なぜ私は全身に巻き付けてしまったのだろう

最大公約数の為の微笑み
没我に失う世界
あらゆる世界

俯瞰すれば夢のごと
人の痕跡を辿らなければ
夢は立証されえない
自由に叶えられる白昼夢を
人は懐にかくまうけれど
幻が主体となり世界を食む時
外界は写実の無響を周縁して
自由を蝕んでゆくのだろうか

最小公約数の為の弁明
水際の救済
生まれ変わる道連れ

終えることは天恵であり
始まりは終結の否定をふくむ
咎を受け咎を伝え
糸は時空の分水嶺に絡まり
人を逸脱させていく
謀反の垣根に涙は溜まるが
幾多の手にも添えられるものだ

擦り切れた糸はやがて解れ
各々の手指の意志となって
あらたな黄金を紡いでいく
既視の抱擁が瞼をかしぐ
私がそれを願うなら
あなたがそれを赦すのなら
糸は夢を叶え続けるのだろうか

たとえば

















自由詩 ◎既視の抱擁 Copyright 由木名緒美 2015-07-29 22:18:16
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