群がる/即興ゴルコンダ(仮)投稿.58
こうだたけみ

群っていう字は君の隣に羊がいるね
名前に羊を持つ私たち二人は
未年に群れをなし干支ひと回りするうちに
何も変わらないことなんてあるわけがなくて

私の名前は父がつけてくれました
ゴシック体で左右対称なのは
公平な人間になるようにって意味
父と私と妹の三人は左右対称で
玉のように美しい母だけが非対称です
でも明朝体になってしまえばみんな同じね
とめはねはらいのある書体には
左右対称なんてないから

私は左半身が右よりも少しばかり大きい
それを物語仕立てにして書いたことがあって
集団のノリの人なんだと思いました。
という感想をもらって愕然としたことがある
だけど今なら少しだけわかるんだ
おそろしい話は一人じゃ聞けない

         昔住んでいた家の窓枠に
        びっしりてんとう虫がいた
    あの頃から歪みはできていたけれど
        何も見なかったことにして
     そっとカーテンを閉めた も一度

群れをなすのは何のため
迷える子羊たちの知恵
君から羊がはぐれぬように
目を瞑って群れをなす
残りの数歩だけはどうか歩を揃えて


自由詩 群がる/即興ゴルコンダ(仮)投稿.58 Copyright こうだたけみ 2015-07-29 08:27:38
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