御霊神社
坂之上放肆
どんなに晴れた日であってもボクの心は晴れない
そんな憧れを抱きしめながら炎天下の朝を一人歩くと
汗がでた
嗚呼、そんなにまでこの地上はボクを空と共に燃やし
ボクをこの大気圏に溶け込ませていこうとするものか
神社の中の小道を冷気にも似た魂の呼気がボクを歩ませ
ここは周囲の氏神様だと言っている恋人の言葉を思いだし
その当たり前の言葉をすごく自然に新鮮に聞いていたボクの
天然的な素材感
律動的な自然感
心拍的な当然感
これらをまとめて想起するに
まったくボクは希有な存在で
生きているのが不思議なほど第一アポトーシス候補な感じで
畜生、俺の人生、なんだったのだ
このだんらりどろどろ流れる汗と同じくいつまでも止まず
自然発生的に存在を開始し
不快感のみの汚臭をはなち
嗚呼、どこに終焉点を見いだすのか
畜生畜生畜生
お前ら俺の苦しみを知っているのか
俺は生温いくらい惚けた生活をしてきたが
それくらいしか出来ない俺のこの苦しみを
ケーキまたはピザのように切り分け
その薄っぺらいワンピースを
律儀に賢く生きている皆様方に一口食わせただけで
即ち致命傷になってしまうような
そんなつらさを味わっているとは誰も露さえ
思いやしない
神社の小道を抜け
また炎天下を燃やし歩き
汗を額から顔面中に瀑布しても
この憤りをボクはいつものように
または今日もまた
心の深いところに閉じ込めて
念仏でも唱えるように目を閉じるように
心を諦念化する
これがボクの一番重要な作業であり
仕事であり
義務であり嫌悪することである
ボクの溢れるような感情の氾濫を
まったく工業用ロボットのように
平穏に
均一に
正確に
制御して
壊れたら直ぐに
スクラップにしてくれないか
そんなボクが汗をかくこと自体
恥に価するのに
鳥居をくぐり抜け
しばらく歩いたところでボクは振り返って
ケータイのカメラで鳥居を撮り
恋人に送った
どこ?(笑)
との返信にボクは心で地元を忘れるなと言い
実際のメッセージには
御霊
とだけ送った
おー御霊ー♪
そう恋人は返信した
畢竟ボクは生きている(笑)