過去
草野春心



  山道の草木を横切る
  ギンヤンマの蒼い複眼に
  私たちの過去が沈んでおり
  どうやら今も放熱を続けている
  遠く 手放してしまったものも
  未だ近く 触れられるものも
  一枚の壁に するどい鋲で
  丁寧に留められている




自由詩 過去 Copyright 草野春心 2015-07-26 21:53:21
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短詩集