エアー・コン/即興ゴルコンダ(仮)投稿.57
こうだたけみ

におい、によって呼び起こされた記憶は他よりも色あざやかでいつまでたっても去ることがないのだった高校の部活の秋の地区大会で楽屋に使った研修館の部屋の終演後に着替えるからと言い置いて閉じこもった押入れを後から来た客演の男の子が着替えるからと言って開けようとしたドーランを落とすとヒリヒリする肌と先輩と畳とホールの深紅、とここへ来て別の景色が入り込む県大会の会場だ普段より数倍広い舞台でセットがショボく見えていた上手から出て下手にはけるだけの役柄の当日は役立たずの演出の脳内で何度も繰り広げられるエアー・コンクール。机の下では小道具を作っていた夏の教室にエアコンはなかった私たちどうやって夏を乗り切ったのかは少しも思い出せない。


自由詩 エアー・コン/即興ゴルコンダ(仮)投稿.57 Copyright こうだたけみ 2015-07-26 20:11:12
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