洗面台にて
凍湖(とおこ)

白いシャツに染み付いた
香水の匂いとスパゲッティの点々に
日曜日の名残を感じながら
指先を黄色くして
ごしごしごしごし 洗う

とっちめてやる!
という わけのわからない怒りに
奥歯がぎりぎりと鳴る
わたしの弱い皮膚は
強い界面活性剤に耐え切れず
しわしわとふやけて
痛い!
と叫ぶ

わたしは
真っ白なシャツが好きだ
太陽の光のしたで反射して
目に眩しい白が好きだ
それは
上手に
隠してくれるから
わたしのうちがわで
とぐろをまいている
はらわたのいろを

このようにして
すべて
なかったことに
出来たらいいのに、と
鼻水がとまらない





初出、2011年6月6日 キャスフィ詩板 「マーガレット」スレ


自由詩 洗面台にて Copyright 凍湖(とおこ) 2015-07-26 20:03:48
notebook Home 戻る