エアー・コン
あおば

            150725

エアギターの名人、メタルギャーの軋み音
コンデンサーのくしゃみ
爆発する前兆ダナと思いながら使い続けて
2年が経った1940年代のアメリカ製のラジオ
古いコンデンサーは使用中に加熱して爆発することがある
一度経験した時は、部屋中に電解液の蓚酸の臭いが立ちこめ
慌てて窓を開けた高校三年生の秋だった
コンデンサーとはエアコンを意味するのが普通だとも聞いた
今頃は北半球の夏真っ盛り、毎日酷使されて、偶には爆発したいと
思っているかもしれないが、数々の防止装置がそれを許さない
車についているエアコンも衝突事故でもない限り爆発できないのだと
爆発できる死火山を羨む
コンと言う名の狐がエアーとなって皆様の前でギターを鳴らす
踊りを踊る
目をつりあげて謡曲に合わせて舞う
緋色の肌襦袢をふわりとさせ
黒い舞台の袖に走り去る 
その艶姿
言うまでも無いがエアーとなるには資格が要るのだ
生まれながらの感性+想像力豊かな演奏技術
なによりも必要なのは音に対する憧憬と好み
目を上げると三味線糸をきりりと巻いて
エア・コンが高速道を往来に見立てて舞っているのが見えた


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/
  タイトルは、愁さん。




自由詩 エアー・コン Copyright あおば 2015-07-25 22:06:53
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