ゆれる
はるな


詩人たちはとしをとって
もうあまりうたわなくなった
すばらしいいくつもの詩集はとじられたまま
本棚にじっとすわっていた
それからもまた時間がたって
詩人たちはますます黙したまま
だんだん文字をわすれていった
いつか愛するひとがみたしていった
赤い水もすきとおるように色あせて
詩人たちはあんまりとしをとって
自分がうたっていたことも忘れてしまった
忘れたこともみんな忘れてしまって
ただおだやかな水がゆれるのを感じている
感じている、ゆれるのを
もうなんにもなくなって



自由詩 ゆれる Copyright はるな 2015-07-24 23:39:16
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