青へ 白へ
木立 悟






触れている
触れている
触れたいものなどないというのに


扉は閉まる
扉は閉まる
ずっとずっと遠くまで


径は離れる
離れゆく
離れるたびに白くなる


瞳の淵の
億の階段 億の呼び声
痛みは消え ただ重くなる


部屋のとなりに部屋は無く
世界はやわらかくうねっている
羽毛に満ちた 扉また扉


何かが在るのか無いのかさえも
すべてがすべてから遠のいてゆく
何もかも皆 近いのに


ひとつの言葉が
空を覆い 消えてゆく
曇からは 光が降りはじめる


見わたすかぎり 夏は冬だ
遠く近く 手は白い径に触れてゆく
触れたくもないのに 触れてゆく

























自由詩 青へ 白へ Copyright 木立 悟 2015-07-24 08:37:44
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