あの山越えて/即興ゴルコンダ(仮)投稿.56
こうだたけみ

ここ二日でひと山越えた感のあるわたしたちは
 次の山あるいは谷を想像できないでいる

  見上げる山 天辺が雲に隠れて見えないほど
   見下ろす谷 闇へかき消えるほど底なしの

    ジェットコースターは外からコースが見えること
     によって安心して怖がれるのだと思い知るわたし
      たちはただポカンとして目に見えない山あるいは
       谷の訪れを待っているここで

      山が上下に分かれれば峠
     峠を越せば広がる里
    さとはうつくしいか
   うつくしくしあわせか
  みのりあるか 秋

玉のようにうつくしい
 娘であった母だけが
  左右非対称の印を持つ

   あの、山を越えたい


自由詩 あの山越えて/即興ゴルコンダ(仮)投稿.56 Copyright こうだたけみ 2015-07-22 21:20:20
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