砕けちった夏
日々野いずる

歩むにつれて足の先からとけていった
こんなだから冷たいアイスを食べよう
こんなだから冷たいアイスをたべよう

コンビニの涼しさにもぼくの溶解はとまらず
浴衣姿の店員がミンミンと鳴いて
鳴けば鳴くほど死を期待させるので
ぼくはあやまって
そうあやまってセミを殺した
セミはジジッと死んだ
勝手に死んだんだ

ぼくはでろでろな手で
顔を覆う
他人の体液は不快だ
このすべては熱さのせいだ

アイスを持って外に出た
そこは100度でアイスは食べる前に
滑り落ちてアスファルトにぽとり
じゅっと蒸発した
ぼくの終わりは
空輝く光輪の大きさからわかる

世界は陽炎に消える



自由詩 砕けちった夏 Copyright 日々野いずる 2015-07-16 21:08:22
notebook Home 戻る