蛍の光
ヒヤシンス


 清らかな小川の流れに言葉は産まれ消えてゆく。
 願いは祈りになりあの山の向こうへ放たれる。
 初夏の訪れと共にやってくる想像を
 使い古した手帳に書き留める。

 白樺の林の中で虫たちは蛹になり静かに時を待っている。
 すべては一度きりの体験で尊い命に永遠はない。
 それでも私は求めるものを探している。
 一つの創造が永遠になることもあるのだ。

 日雇い人生でも感謝をしよう。
 悲しみの中にひとかけらの喜びを見つけよう。
 絶望の灰の中から希望の光を探し出そう。

 凛とした冷たい山水に浮かぶ未来は
 過去のどんな行いよりも清く美しい。
 私は私の手帳に蛍の光を見たのだ。


自由詩 蛍の光 Copyright ヒヤシンス 2015-07-11 04:40:17
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