椰子の実
和田カマリ

わからないという虫を
見てみぬ振りをして
僕の中で放っておいた

奴等
増殖し巨大化し
脳の子葉を穴ぼこにした

食べ後からは
血と膿がにじみ
葉脈の鼓動は
カラスの鳴き声になった

はじめに戻って
穴を埋めて
虫を殺して
一匹残らず

しんどくてできないかわりに

背中から
泥の味のする
椰子の実の
芽を摘んだ


自由詩 椰子の実 Copyright 和田カマリ 2015-07-09 15:35:51
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