疼き
ヒヤシンス


 嘘を重ねるたび丘の雲は地表を露わにする。
 それはどうにもならないくらい現実で
 自分の歴史の中の恥を上塗りしてゆく。
 自責の念は何の解決にもなりはしない。

 穏やかな音楽も今は音楽でさえなくなり
 鮮やかな絵画も創造の沈黙を守っている。
 マーマレード色の朝日を正しいと信じていた心は
 いつか見た樹氷の連なりに埋もれている。

 責められる事のなくなった心情は複雑だ。
 あの頃の夕日を美しいと感じた心はどこへ行った。
 行動が幸福につながった時代はどこへ行った。

 丘の上にかかっていた雲はすでに消え去り
 眼下に広がる岩肌の険しさだけが心に沁みる。
 正直に生きるために今日もこの丘に佇んでいる。


自由詩 疼き Copyright ヒヤシンス 2015-07-09 10:41:44
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