疼き
ヒヤシンス
嘘を重ねるたび丘の雲は地表を露わにする。
それはどうにもならないくらい現実で
自分の歴史の中の恥を上塗りしてゆく。
自責の念は何の解決にもなりはしない。
穏やかな音楽も今は音楽でさえなくなり
鮮やかな絵画も創造の沈黙を守っている。
マーマレード色の朝日を正しいと信じていた心は
いつか見た樹氷の連なりに埋もれている。
責められる事のなくなった心情は複雑だ。
あの頃の夕日を美しいと感じた心はどこへ行った。
行動が幸福につながった時代はどこへ行った。
丘の上にかかっていた雲はすでに消え去り
眼下に広がる岩肌の険しさだけが心に沁みる。
正直に生きるために今日もこの丘に佇んでいる。