発熱の夜
いるみ

逃げなきゃ。口の中で繰り返す
熱がさめる瞬間がいつもこわい

あの日 赤いカーテンの部屋
わたしの手が酷く熱をもって
君のからだを傷つけたこと


*
*


いかなきゃ。喉の奥で掠れる
あの日みたく泣いてみたかった

髪をつかんで褒めてくれたね
あの人 ひどく疲れた顔で
うわごとのように


ノスタルジー
そして


こっちの方が愛みたいだよ
そうじゃなきゃつじつまが合わない
あの人の頬をなでる手で
思い浮かぶ全てに蓋をした


自由詩 発熱の夜 Copyright いるみ 2015-07-06 12:02:27
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