卒業
もり
ハローワークから出たとたん配られたチラシには、きみの名前。きみの写真。その上に〈元彼女〉の肩書。「元」がやけに安っぽいゴム印で、おれはムカついた。ビリビリに破り捨てた。渡してきたおっさんを蹴飛ばした。おれの詩は悔恨の散弾銃になって、ところかまわず撃ちまくった。穴ボコの心からは、色んなものがしみ出した。
レンアイでは浅ましい。 すべてへ。
おれの硬直した指をやさしくほどいて、ジャックナイフをペーパーナイフに持ち替えさせた張本人へ。歩く自由の女神へ。おれの愚痴をダイヤモンドに変える目を持ったメドゥーサへ。幸福な4年間へ。詩のいらなかった毎日へ。あまりにも体温らしい体温へ。
おめでとう。
ダスティン・ホフマンにはなれないから。
わかってると思う。
そう。
おれがずっと、ティアラだと言い張っていたのは、荒野行きのヘルメット。
じゃあ、おれは、そろそろ行くよ。