麦雨譚 -- 短歌集
伊藤 大樹
村雨に光れる木々の目覚ましやわが心中の青きビニル傘
五月雨に光るる道の白皙の
汝
(
な
)
がポケットの淡きセブンスター
ぬばたまの夜に流るる精液の氷のごとき冷ややかさ
けふ夢に出てきた君の
瞳
(
め
)
にはあを身捨つるほどの祖国もあらじ
スタバにてくゆる珈琲をすすりつつ朝の渋谷の往来を見る
背もたれに君の
襯衣
(
シャツ
)
と卓上のまだ仄ぬくいティーカップ
短歌
麦雨譚 -- 短歌集
Copyright
伊藤 大樹
2015-07-05 12:30:54