火トカゲの鎮魂歌
ベンジャミン

そうやって夜は沈み
盲目のあなたは歩くこともできず
杖を探して這い回るのです

まぶたを透かす希望に
わずかなぬくもりを感じると
胸の奥に溜め込んで満ちるのを待つ
狂いそうな手足は鉄の鎖で結びます

(安心しなさいあなたは一人です)

善悪の天秤が激しく揺れても
それはくるくると回るだけ
これ以上失うものはないのですから

粉々に砕けても
灰は何も語らないでしょう
常に終点から入り口を見つめるなら
最後に怯えることもありません

(こんなにもあなたは一人です)

そこには哀れみも悲しみもなく
魂が川底の石のようにまるまりながら
あちこち踊り小さくなってゆくだけ

やがて砂粒ほどの
重さも感じないくらいになって
はじめて居場所を得られます

それまで

涙は流さないでいましょうね




自由詩 火トカゲの鎮魂歌 Copyright ベンジャミン 2005-02-11 10:50:52
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