血縁



双子だった祖母方のまたいとこはすこし胸が大きい
潤んだ神秘的な瞳は深くて
同い年なのに
大人に見える
意味深な暗号のように念仏がくりかえされるなか
むかし いっしょに あそんだはずの
わたしたちの謎は解けない
三途の川でも天国でもない葬儀場に
血縁のものたちが集まり
すこしずつずれて並べられた座布団の上で
みな目をつむっている


霧のようにこまかな雨が舞うお別れの日に
清算しなければならないことがあると
だれもが知っているけれど
かたちもしるしもこんせきもないそれのことを
だれも見つけられないから
せめてもの穴埋めのように
お坊さんがやってきてずっとお経を続ける


やがてわたしたちのぼやけた影はことば少なに立つ
なん億光年ものかなたにいる他人のようで
どこかでつながる
なにかが似ているとおい血縁のひとびと
みなが歩いていく
ちらりとわたしを見た彼女はすこし胸が大きくて
喪服がよく似合う
とび色の瞳は伏し目がちに
霧雨の都会にあつまるたましいを吸って
さらに謎めいている







自由詩 血縁 Copyright  2015-06-30 01:55:51
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