血縁
七
双子だった祖母方のまたいとこはすこし胸が大きい
潤んだ神秘的な瞳は深くて
同い年なのに
大人に見える
意味深な暗号のように念仏がくりかえされるなか
むかし いっしょに あそんだはずの
わたしたちの謎は解けない
三途の川でも天国でもない葬儀場に
血縁のものたちが集まり
すこしずつずれて並べられた座布団の上で
みな目をつむっている
霧のようにこまかな雨が舞うお別れの日に
清算しなければならないことがあると
だれもが知っているけれど
かたちもしるしもこんせきもないそれのことを
だれも見つけられないから
せめてもの穴埋めのように
お坊さんがやってきてずっとお経を続ける
やがてわたしたちのぼやけた影はことば少なに立つ
なん億光年ものかなたにいる他人のようで
どこかでつながる
なにかが似ているとおい血縁のひとびと
みなが歩いていく
ちらりとわたしを見た彼女はすこし胸が大きくて
喪服がよく似合う
とび色の瞳は伏し目がちに
霧雨の都会にあつまるたましいを吸って
さらに謎めいている