穀潰哀歌
もり

何もしなくとも
腹は減る
爪楊枝咥えるにも
銭がいる
腹が鳴るたび
苛ついて
何もしなくとも
腹が減る

何もしなくとも
税はくる
督促の手間
知る由もなく
ゼイゼイゼイ
息継ぐ間もなく咳こんで
何もしなくとも
税がくる

何もしなくとも
夢を見る
旧友集って肩たたく
囲む闇鍋 コンロの灯り
あの日とちがう
汗をかく
何もしなくとも
夢に出る

硝子の破片 散る様で
靴の鳴き出す交差点
歩み始めたか
押されただけか
小さく見えなくなっていく
縮む背中へ
手を合わす


自由詩 穀潰哀歌 Copyright もり 2015-06-29 18:33:51
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