Zoo/ありのままで
桂
Zoo/ありのままで
「突然呼び出してごめんね。」の言葉の後
平日の広い園内を歩き始めた
突然始まった ヒールとスニーカーの追いかけっこ
「私 ゾウが見たいの」
振り返りもしないで
よそよそしく そよ風に乗せて伝える彼女はなんか変
なぁ なんかあった?
.....クルックー
....ありがとう
気遣い屋のハトに
スナック菓子を奢りながら
柵の上で飽きもせずゾウを見続ける彼女を待った
数分後 笑顔の彼女が降りてくるなり
「鼻で物を掴むなんて変じゃない?」なんて言うから
「それがゾウにとっては普通なんじじゃないの?」
ってハトを追い払いながらテキトーに答えてると
彼女は子供の頃 隣のおばあさんに回覧板を回しに行く度に おばあさんがくれた駄菓子みたいに
理由のないキスをくれた
クルックー
気遣い屋のハト達がバタバタと飛び立って場面が変わる
「わたしアイスクリームが食べたい」
2人 パラソールの下の席に着いて
カップに入ったアイスを2つ並べる
「で今日は一体何だったの?」
彼女はしばらく目を斜め上にあげて考え込んだあと答えた
ここには 昼に起きる動物もいれば
夜に起きる動物もいる
地下に潜る生き物もいれば
空を飛ぶ生き物も
でも誰も自分の生き方なんて気にしてないないの
鼻の長いことを気にするゾウなんて一匹もいなかったわ
「...なんか難しいな」
「きっと わたしは空を飛ぼうとしたのよ」
「それはもっと難しい」
そっ 不可能よ
だから 人の目なんて気にせず ありのままでいればいいのよ...