愛というもの~永遠と呼べる一瞬
ヒヤシンス


 街角の雑貨店に流れるオルゴールの音色が心地よい。
 店番をしている若い雌猫のカフェオーレのような顔もまた楽しい。
 店の扉を押し開けてのっそりと入ってくる常連の猫は
 手入れの行き届いたひげをぴんと伸ばして彼女に会いに来る。

 我らお客は自分の価値観に忠実に品定めをしている。
 それはまるで一瞬一瞬が永遠につながるように。
 そして各々の存在価値を深く確かめるように。
 優しさの視線の先に太っちょの猫男爵を盗み見ながら。

 秘めた恋より開けっぴろげの愛が良い。
 愛を知っていますか。
 愛を惜しんではならない。
 開けた愛に存在価値は呼応する。

 彷徨う恋より真っ直ぐな愛が欲しい。
 寂しさに打ちひしがれる時こそその愛を。
 決して恥じてはならない。
 時代は流れているのだから。

 一瞬の煌きこそが愛なのだ。
 愛と優しさをこの世界から抹殺してはならない。
 愛のないところで詩は生まれない。
 世代や性別を遥かに超えて愛は紡がれてゆく。

 オルゴールの流れるこの空間に愛は注がれてゆく。
 白ければすべては終わるのだ。
 この店でこんな物語を語る私にも愛はある。
 この永遠と呼べる一瞬にも愛は満ち溢れているのだ。


自由詩 愛というもの~永遠と呼べる一瞬 Copyright ヒヤシンス 2015-06-25 03:04:32
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