愛というもの~永遠と呼べる一瞬
ヒヤシンス
街角の雑貨店に流れるオルゴールの音色が心地よい。
店番をしている若い雌猫のカフェオーレのような顔もまた楽しい。
店の扉を押し開けてのっそりと入ってくる常連の猫は
手入れの行き届いたひげをぴんと伸ばして彼女に会いに来る。
我らお客は自分の価値観に忠実に品定めをしている。
それはまるで一瞬一瞬が永遠につながるように。
そして各々の存在価値を深く確かめるように。
優しさの視線の先に太っちょの猫男爵を盗み見ながら。
秘めた恋より開けっぴろげの愛が良い。
愛を知っていますか。
愛を惜しんではならない。
開けた愛に存在価値は呼応する。
彷徨う恋より真っ直ぐな愛が欲しい。
寂しさに打ちひしがれる時こそその愛を。
決して恥じてはならない。
時代は流れているのだから。
一瞬の煌きこそが愛なのだ。
愛と優しさをこの世界から抹殺してはならない。
愛のないところで詩は生まれない。
世代や性別を遥かに超えて愛は紡がれてゆく。
オルゴールの流れるこの空間に愛は注がれてゆく。
白ければすべては終わるのだ。
この店でこんな物語を語る私にも愛はある。
この永遠と呼べる一瞬にも愛は満ち溢れているのだ。