ポエケットの迷子
あおば

            150623
迷子の迷子のこねこちゃ~ん
一部屋で開催されているのに迷子になるなんて
でも、あの子にはスマホは早過ぎます
どんな使い方するか分かりませんからと
こねこちゃ~んには、防犯ブザーを除くと
なにも連絡ツールを与えられておりません
うろうろするか
小声で泣いて
親切な人に誘導してもらうしか
迷子から抜け出す手段が無いのですが
ポエケット会場は、右回りするか
左回りするかで、かなり、印象が異なるのです
最初に立ち寄ったブースで、立ち読みに耽り
気に入ったものを購入したりすると
お財布の中身も、受付で頂いたお持ち帰り紙バッグも
膨らんで重くなり
次のブースでは、慎重になり過ぎて、本当は欲しかったのにと、
自重したりしているうちに、好き嫌いの本当の判断力が
どこかに行ってしまい
勧められるままに購入したりして自信を無くし
草臥れたから暫く休息と
ロビーの椅子に座って、通り過ぎる人を
ぼんやり眺め
気力を取り戻すのですが、再入室した時には、
次はどこのブースから続けるのかが完全に分からなくなり
適当に立ち寄って、紙袋の中が一杯になったからと
なんとなく満足してしまい
それ以上の詩書探索を止めてしまい、やっと
こねこちゃ~んのことが気に掛かるようになるのですが、
その頃にはこねこちゃ~んはお気に入りのブースに
迷い込みご機嫌で立ち寄るお客様に飛び切りの笑顔を
向けているのでした。


初出「即興ゴルコンダ(仮)」
  http://golconda.bbs.fc2.com/





自由詩 ポエケットの迷子 Copyright あおば 2015-06-23 21:42:50
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