疑心
ヒヤシンス
雨音がすべての音を掻き消していた。
この町に人はまばらだが、誰もが何か特別なことが起きるのを待っていた。
不謹慎極まりない人々なのだ。
小さな町では誰もが監視されている。
雨音が徐々に強くなる。
風がないのは幸いだ。
水滴は人々の心に浸透し、誰もが用心深くなる。
小さな町では自由がないのだ。
人の優しさが見えなくなるときがある。
優しさって何だろう。
優しさを纏った無関心が往来を闊歩している。
雨だれがすべての嘘を浮き彫りにしてゆく。
噂話が一人歩きしている。
今日もどこかで罪のない人が傷ついてゆく。