恢 復
塔野夏子
手をとりあって
いちばん深い風の吹く場所へ行こう
其処には音楽のような樹と
祈りのような泉がある
手をとりあったまま
いちばん深い風に浄らかに吹かれて
たたずんでいればいい
其処で交わされるものが
言葉であっても沈黙であっても
それは静かないとおしさに包まれているだろう
遠くに記憶たちの列が
歩いてゆくのが見えるかもしれない
そうして其処で時を過ごしていると
やがて私たちの頭上におとずれるひとつの
星座
(
コンステレーション
)
自由詩
恢 復
Copyright
塔野夏子
2015-06-19 23:16:38