粒と光
木立 悟





子どもたちの声が
翅のように過ぎる
曲がり角に撒かれた砂の上を
輪を持つものはゆうるり回る


誰もいない径は
声と鈴に浸され
青空は常にくすんでいる
曇のはざま
とどまらぬ色


駅と原
氷と足跡
かつて過ぎたものと
過ぎたばかりのものを
同じ青が見つめている


焦げた夜の先
刃を削る刃の静かな光
かけらは軋む
見えないものが
曲がり角をゆく


残る轍
またたく灯
廃駅の上に浮かぶ駅から
行き先を告げる声が響く


一日の多くが木陰のままの
訪れるものもない療養所を
ざわめくかたちが過ぎてゆく
小さな爪痕を残しながら


午後の無人を
夜は呑み込み
砂はひとり
砂はふたり
途切れない火に
照らされてゆく




























自由詩 粒と光 Copyright 木立 悟 2015-06-18 22:35:01
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