ハイヒール
あおい満月


海底に網を下ろして
引っ張りあげながら
己の魂をコントロールする。
海が顔を変える。
荒くなる水面。



あなたのなかで
裸になりたい。
リズムになって
絡まりあって
青い血を一つにしたい。
夜の繁華街で、
指を絡ませたなら
連れていって、
誰も知らない
蒼く暗い未知へ。

**

何かが割れる音がして
耳を澄ますと
海が朝を浴びて
穏やかになる。

(すべてはバランスからできている)

いつかのことばを思い出して、
釘を打つ。
鏡の先を見据えなければ
誰にも何も与えられない。

***

顔に爪を立てる。
剥がれていく皮は
アリバイを塗った銀河
紙の上に
茶色い雨粒が落ちる
指を指す目が皺になる。
どこまで行っても
土を被せた筈の過去がついてくる。
カタカタ、
秒針になった
ハイヒールの足音が。


自由詩 ハイヒール Copyright あおい満月 2015-06-17 21:54:03
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