不要論
秋也

そこに在る必要はない
そこに残る必要もない
ジャム塗れの兵士はむかしむかしのこと
無音の中
光が縦に流れるよう
暗室 温度計 サーモグラフィ
人物二人
腕を絡め
唇も重ねる
蝋燭を灯し
蝋が滴り落ちるように
揺らめき
固まる滴
三人目を置く必要があるかい
どこにもYESなんてない
簡単なことだ
YESと言われる場にいつもいないだけ
祈りににも似た何か
君は不要だ
とうの昔に冷蔵庫の中で申し渡された警告
腹を裂き
自ら首を落とすべし
その前にドアを閉めろ
祈りにも似た
後ろの部屋に響くのは
叫びか喘ぎか山積みの書物が崩れる音か
それもとうに答えは出ている
僕は不要な三人目に憧れ長くてぎしぎし軋む廊下を今日も歩いている
ジャム塗れの兵士を軽蔑し
冷えた部屋を目指す
決して窓なんてないのだから


自由詩 不要論 Copyright 秋也 2015-06-17 00:48:57
notebook Home