夏休み
じぇいぞろ

タンクトップで石垣のあいだへ
かべちょろを追いかけて入り込むと
アオダイショウも涼んでて目はへろんとしていた
へびいちごは毒があると誰かが言ってた

神社のさい銭箱の下を掘って寛永通宝を発見した自分は語り継がれる英雄で
もう見つからなくなって神社の奥へいくと円錐形の穴がそこらじゅう
蟻を空き缶いっぱい捕まえてきては蟻の逆襲劇

学校の横に川があってかいつむりって鳥がもぐって浮上する
どっから出てくるかあてずっぽうに石を投げるけど当たったことない
この川で一度だけカワセミを見たとき体が硬直して息も殺した

夏休みの宿題といっしょにカマキリのたまごを取ってきて誰かのロッカーの奥に隠したらある日の朝教室がパニックになってて1時限目が掃除になった
証拠がないと無罪なんだと思った

もうそんなことは全然忘れてた
残業してたら足許の書類から
ガサガサ音がする
書類をのけるとオケラがこっちを見ていた
オケラの手でしばらく遊んでいたらあの頃に戻った気がした



自由詩 夏休み Copyright じぇいぞろ 2015-06-15 20:57:42
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