多摩川の夢
番田
私は今日川縁を走った
一時間も走ったのは学生の頃以来だったが
走っていると色々なランナーとすれ違う
その体に 色々な人生を抱え
私も走った
短い時間を縫って
対決を見守る少女たちや
犬を操るブリーダーの女性の横を
一体 あの人は普段何をやっているのだろうと
彼ら自身の存在を噛みしめるようにして
野球の試合をする少年たちや
そんなものを通り過ぎた
この空の下では何の関係もなく
緑の茂る草地を私は走っていく
少しだけ歩いた
だいぶ疲れていることに気づいた
スピードを上げすぎていたのかもしれない
肺がそこにあることをそこに感じさせてくれた
私の呼吸が荒いという感覚も
足が重いという感覚自体も
久しぶりだった