西へ行こう
レタス

靴紐を締めてあのカーヴを曲がると
この街には戻れない
何もかも捨てて行くのは西の街

この街はとても錆びていて
誰も歩いてはいなかった
唯一の救いだった屋台のラーメン

この街は無言過ぎた
買った物はフライパンと鳴らないスピーカー
俺は全てを捨てていく

誰でもいいから
呼び止めてくれる者はいなかったのか
たとえ老婆でも幼子でも

あのカーヴを曲がればもう戻れない
フライパンとスピーカーを捨てて
何処へ往くのか俺も知らない

目指すのはただ西の街だった
名前も知らない
人情も知らない新しい街

俺に出来ることは
新しい靴紐を締めて
あのカーヴを曲がるだけだった


自由詩 西へ行こう Copyright レタス 2015-06-10 22:49:48
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