長い 長い 坂の上には。
元親 ミッド

長い 長い 坂の上には
 
青い 青い 春の空があった。
 
坂の上の様子は見えないけれど
 
それまで切らしていた呼吸の事も忘れて
 
最後の数段を登りきる。
 
 
 
 
坂の上には、何があるのか。
 
そんな事を知るためにこの坂を登ってきたわけじゃないけど
 
登りきった坂の上には
 
舗装された道路と、閑静な住宅街
 
かろうじて絡まってない電線が風に揺れていて
 
路線バスが一台通り過ぎ
 
ただのありふれた日常があった。
 
 
 
 

明日のことは誰にもわからないけれど
 
絶対にいい日だろとは言い切れないけど
 
明日は必ずやってきて
 
絶対に悪い日とは限らない。
 
きっと、この坂の上のように
 
たわいもない日常があるんだろうけど
 
風に吹かれて振り返ればいい。
 
 
 
 
眼下に広がるあの街並みを。
 
美しいと いとおしいと思えたなら
 
それこそが、坂の上にあるものだから。
 
 
 
 
長い 長い 坂の上には
 
青い 青い 春の空があった。
 
眼下の坂には 木造家屋が続いてて
 
その傷んだトタンの軒先には
 
そんな世界を応援するかのように
 
白い洗濯物が 連なってはためいていた。


自由詩 長い 長い 坂の上には。 Copyright 元親 ミッド 2015-06-09 22:35:18
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