……とある蛙


良い夢を見ようと
集中していたら眠れなくなった



仕方がないので
起きようとしたが
眼が裏返っていて
何も世間が見えない

暗転した中、手探りで
部屋の灯りのスィッチを
辿っていたら

何か夢のような感触の
粘菌が部屋の壁に
こびりついていた

人のいる気配と
動物のいる気配

何やら動物の気配がすることが
可笑しくて
手を口に当てて笑った

はっはっと

その笑いしなに裏返っていた眼が
ひょいっと元に戻った。


驚いたことに
目の前に貘がいた。


自由詩Copyright ……とある蛙 2015-06-08 11:56:04
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