明け方に
ヒヤシンス
湖岸に立つ私に風は爽やかで
静寂の中に鳥たちの声が聴こえる。
靄のかかった湖面から小枝が屹立する情景は
私に生命力の尊さを教えてくれる。
静かに歩み寄る初夏の足音に耳をすませば
昨日までの日常が嘘のように流れゆく。
鳥たちの歌声が空間を駆け巡るとき
私は命のありがたみを今再び感じるのだ。
人生を長く感じるか短く感じるか
そんな感覚は今ここに在る自身の心次第で
なぜだか湖面に広がる波紋のように揺らめいている。
さぁ行こう。奢りもなく昂ぶりも今は控えよう。
ただこの一瞬は心穏やかに。
自然に包まれた光景に今こそ訪れる魂の静かな放出。