天を見つめるということ
そらの珊瑚

いっとき
誰かをおもい
泣いたとしても
朝が来れば
人は顔を洗い
食事をし
読みかけの本の頁を開く
晴れていれば
陽を浴びに出かけ
つばめが巣立てば
ほほえむでしょう
四葉のクローバーを摘み、それを
ささやかな幸福だとして
ふたたび
おとぎばなしの栞にするかもしれない

でも今日は薄曇り
まぶしくないので
わたしは
こころゆくまで
まひるの天を見つめているのです
地上で二度と会えない人が
そこにいると
信じているわけでもないのに

そうして
かなしさで
充ちてふくらむ
風船になるのです
もしくは
雨を待つ
砂漠の
身寄りのないおたまじゃくしに


自由詩 天を見つめるということ Copyright そらの珊瑚 2015-06-03 11:57:13縦
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