夜をつなぐ
和田カマリ

部屋を汚してしまうからって
こんな変な服を着せられて

助けてください
誰か助けてください
おトイレに行かせて下さい

お願いです
誰かお願いです
この服を取り外して
私を
おトイレに行かせて下さい

ええっ
何を言っているのですか
この中にですか
この服の中にトイレが
トイレが入っているのですか

大学の偉い先生が
開発されたのですね
新しい科学なのですね

じゃあ私
この中に出しちゃっても良いの?
本当に出しちゃっても良いの?

じゃ出すよ・・・

すごく気持ち悪いけど
新しい科学なのね
朝が来たらみんなに
この事を知らせる為には
仕方のないことなのね

先生
おしっこの先生
わたしをベッドに寝かせて
子守唄を歌ってくれた
背中を優しくたたきながら
子守唄を歌ってくれた

ねんねんころりよ
おころりよ
坊やは良い子だ
寝んねしな

わたし坊やじゃないよ
お婆ちゃんだけど
ありがとう先生
とってもいい気持ちです
悪いものや汚いものが
全部背中から出て行くような

ああスゥーッと
スゥーッとするよ
わたし眠くなってきた

良い気持ち
とても良い気持ち

ああ
先生
先生
先生・・・

おとうさん・・・
おかあさん・・・

ああ誰か・・・誰かトイレに
おトイレに連れて行って下さい


自由詩 夜をつなぐ Copyright 和田カマリ 2015-06-03 10:10:28
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