遠吠え
楽歌
月が哭いている。
明日は嵐になるという。
茜色の感情だけが、夜に紛れることが出来ずに怯えている。
藍色は相変わらず。そういうことにだけは巧みに生きていける。
哀しみを通り過ぎた虚しさが、窓枠にしがみついたままで、
カーテンを締める手が、少しだけ躊躇ってみせた。
化粧水の粒が、手のひらで身を震わせている。
はだ、に
弾けて、ほとり。
小細工を繰り返しては、女で在ろうともがくたびに、
下腹部の火照りだけ、置き去りのエチュード。
あなたを待っていたいのです。
名も知らぬままに、
ひとつ、ふたつ、みっつ。
焦がれては痛みと覚え、
よっつ、いつつ、むっつ。
こゆびに、髪を絡ませては、また。
ななつ、やっつ、ここのつ。
こんじきの、ゆめだけが、
とおく、とぉく。