もっぷ

私の
右のてのひら
左のてのひら
載っているのは
目に見えるものばかりではない
見えないけれども
無力でもないそれらは
良いものとは限らず
悪いものとも限らない
間違えて捨て
間違えて可愛がり
間違えに気づいて泣き
気づかずに過ぎる

ひととして生まれて
ほんとうによかった

この言葉は目には見えずに
両方のてのひらに載っている
良いものであり
間違えではなく
可愛がるべきで
しばしば想うべき、
そんな
大切なもの
この言葉は手放さない
たとえ
湯気を立てている目の前のシチューを
気持ちよくゆずったとしても



自由詩 Copyright もっぷ 2015-06-01 13:00:42
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