旅路
レタス


ドゴール空港は鉛色の霧に閉ざされ
次にくる四分音符を待っていた
誰を待つこともないのに

今朝食べたチキンサラダの余韻が舌に残り
ぼくは何故か戸惑っていた
くたびれたレインコートが黒ずんで見える
そろそろ死んでもいい頃だと思った

温かい珈琲が肩を抱き
靴だけが黒く光る
それはなにかを暗示するのだろうか

誰かがぼくの名前を呼ぶ
痛みなどはない
ぼくはそろそろ死んでもいい頃だと思った


自由詩 旅路 Copyright レタス 2015-05-30 22:57:34
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