午後つくる指
木立 悟





雪に残る足跡を
光が曇で真似ている
直ぐに降る音
水たまりには
緩くひらく虹


つもるものもなくつもり
何も無さを隠している
手のひらのかたちを
隠している


径は途切れ
花は重なり
空洞は浅く
増えてゆく


白は
ずっと白だった
はじまりを待たずにはじまった
そうして 途切れたものらを
結んでいった


色の少なさ
川の傷
空へ空へ 冷ややかな
銀と灰と花のみちのり


この傾きが黒
この傾きが錫
ひたすらに花に生える花
枝の包囲を破りつづける


導こうとする線があり
抗おうとする紅がある
横に流れる糸や糸
泉 唇 爪先 頂
ただ冷えてゆく昼のいけにえ


欠けたものは治ることなく
うたいうたいうたいつづけ
指にはさむ一本の茎
空の白へ震えつづける


























自由詩 午後つくる指 Copyright 木立 悟 2015-05-28 10:56:32
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