平成27年5月13日早朝
……とある蛙
おはよう
僕のベットの隣に君がいる
肉と皮を蒸発させた君がいる
地上に置いていった骨だけの君がいる
ろうそくの炎が揺らめいている
数本の線香のか細い煙が揺らめいている
僕の心が静かに揺らめいている
ほんの数日前まで息をしていた君
酸素吸入されながら息をしていた君
ときおり咳き込んでいた君
数か月前までは不自由な体で微笑んでいた君
きっと桜を見ようねと約束していた君
城址公園でまた紫陽花を見ようねと約束していた君
ほんの1年半前には自動車を運転し駆け回っていた君
ほんの2年前には二人で諏訪湖までドライブしていた君
ほんの2年半前には善光寺や松代城まで行ってきた君
君は蕎麦が好きで
君はバラ寿司が好きで
君はあんみつが好きで
でも実はみんな僕の好物で、
君が合わせてくれていたのかも知れない
それに気づかないぼくはなんて間抜けだったのだろう
今僕は記憶をたどるしかない
何かをきっかけとして君を思い出し
それをせっせと泣きながらメモしている
最後の棺の中の君は
娘に化粧されて
全く生きている時と同じで綺麗だったよ
お願いだから化けて出てくれ
そんな約束したじゃないか
約束破るのはずるいよ。
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妻