味噌汁
たもつ

 
 
味噌汁の中をラクダが泳ぐ
どんなに泳いでも
沖などあるわけがないのに

僕はボートに乗って
ひたすら豆腐を網ですくう
今晩の味噌汁の
具にするために

いつまでこんなことが続くんだろう、と
ふと思う時の
ささやかな絶望と
ささやかな幸福感

御飯よ、と妻の呼ぶ声と
はあい、という娘の声が聞こえる
ラクダは楽だ
なんてくだらない冗談にも
居場所のある時があった



自由詩 味噌汁 Copyright たもつ 2015-05-24 11:39:40
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