ホップステップジャンプ
りゅうさん
仕事帰りのバスで
「ええ、話しかけなくていいですか」
と話している
あの中年の女性は
私を調べている興信所の人間ではなかろうか
大学のスクーリングにいた
角刈りの学生らしからぬ風貌の男は
警察のスパイだったのではなかろうか
ライブ会場で
毎回一席となりに座る
似たようなサラリーマン風の男性は
私を追いかける公安の刑事
かもしれない
と思えば何もかもが怪しい
家の中ですら私の姿は見られ
声は聴かれている
かもしれない
かもしれないから
たぶんそう
そうであるに違いない
の距離は驚くほど短い
壁に耳あり障子に目あり
古人の言葉に深遠なる響きを感じ
どちらにせよ詮無きこと
私の関知するところではない
と
誰恥じることのない立派な行いを
心がけるだけのことなのです