午後へ 午後へ
木立 悟





泡が回る
影が回る
呑まれる前の
小さな色


春の内の冬
木の家を巡る
瞳のにおい
泪のにおい


音に音を差し出せば
せわしなく手をひたす色
みどり みどり
毒と知りながら滾る色


鉱を囲む花に雨が降る
野の裾が霧に引かれ
またひとつ
時と地の嘘が露わになる


水が水に洗われ
胸を流れる
ゆうるりと分かれ
渦の光に残りつづける


応えは眩み 応えは軋み
空に沈む手のなかで
花は葉に 葉は花に
まばたきに震え ゆらめく曇が
ひとつの笑みに拓かれてゆく

















自由詩 午後へ 午後へ Copyright 木立 悟 2015-05-22 09:37:56
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