グッドモーニング トゥー オール
かんな





昨日をすべからく塗りつぶす朝
古い置時計の振り子のよう
きらめけば朝日に染まる空
止めどなく冷たい空気の粒子のふれ
透明度の高い雨粒よりうつくしい
太陽にとどまるたんぽぽの綿毛
道草からはがす幼き日の影を
唇にひく紅のように鮮やかに
鮮明な記憶から消えた思い出より
淡く散る桜並木の果てを歩けば
樹木が深呼吸する気配の中でも
浅瀬に流れた貝殻に響く音を拾う
夕陽が落ちて夜がドーナツのように甘く
星々がこぼす涙がひかりを放つと
感性にかがやくおさな子の視野の奥
友と交わす祝杯に溶けるわだかまり
眠りにつく握り合った手と手だけ
終わりに近い明日の夢のように
すべてのさよならにおはよう






自由詩 グッドモーニング トゥー オール Copyright かんな 2015-05-16 20:43:43
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